★ マニュアルトランスミッションのススメ ★

AT(Automatic Transmission)とMT(Manual Transmission)の違いはその名の通り、変速操作を自動でやるか人手でやるかの違いである。
基本的にはどの車種にも普通はAT/MTどちらの設定もあるものだが、最近はATだけという車種もでてきたようだ。
私の親世代ではそもそもAT車なんてものが存在していたなかったらしいが、国内のAT装着率が約95\%という現状を見る限り普通の人はMTよりもATを好むらしい。

なぜATばかりがこんなにも人気なのだろうか?
差としては「シフト操作の有無」だけであるのだが、そんなにも「シフト操作」がめんどいのか?
AT車ではドライバーが「操作」していないだけで機械が勝手にシフトチェンジをしているのだが、私にはその制御がどうしても馬鹿に思える。
ATのコンピュータがシフト操作のタイミングを制御するのに用いる情報は基本的には「回転数、車速、アクセル開度」だけである。
しかし、ドライバーがシフト操作をする場合、これらの情報に加えて「先の道路状況、コーナーの曲率半径、必要なエンジンブレーキ強度、必要な加速度(アクセル開度だけでは判断できるはずがない)、燃費優先or加速優先の選択」などのより高度な情報を加味して適切なギアを選択することができる。
さらに、一般に同じ段数のギアを作る場合、遊星歯車を用いるAT機構の方が複雑で高コストである為、MTで5速はあたりまえだがATで5速は高級車にしか搭載されない。
さらにさらに、ATで用いられている流体クラッチは「回転力を完全に切断できない」というクラッチとして決定的な欠陥がある。[*1]
その為、停車中もAT車のエンジンは絶えずエネルギーを「ATフルードをかき回す」事に浪費している。
その他の条件が同じならMT車よりもAT車の方が一般的に燃費が悪いのはこのためである。

このように、「シフト操作がめんどくさい」という以外のほとんどの点で、MTの方がATより優れている。
日本の95\%のAT乗りの皆さん、「めんどくささ」の対価にどれだけのコストを払っているか今一度認識を深めてみてください。



*1 : これ故に、アクセルを踏まなくても勝手に進んでしまう「クリーピング現象」がAT車にのみ起こる。



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