ニキシー管時計



ニキシー管(Nixie-Tube)は、1950〜60年代をピークに使用された真空管の一種です。
ネオンガスの充填されたガラス管に、数字の形をした電極が封入され、直流100〜200Vの電圧をかけてやると、 数字の形にオレンジ色に発光します。(つまりはグロー放電を数字の形の電極で行っている)
駆動に高電圧が必要な事や、消費電力が大きいことから、近年では蛍光表示管(VFD)や7セグ発光ダイオードに淘汰され、ほとんど現役のニキシー管を目にすることはなくなりました。
私ももちろん見たこともなく、父が学生時代に使っていた当時10万円相当の電卓に使用されていたものも、既にVFDでしたので、祖父の時代のデバイスという事になります。
(現物のニキシー管は、お台場の台場1丁目商店街のゲーム機の復刻版や、日本科学未来館の一角などにあります。)

この、ニキシー管が昨今のレトロブームで見直され、その暖かみのあるオレンジ色の数字に注目が集まっています。
このブームにより、希少価値が付いた&ヤフオク転売厨の影響で価格が高騰していますが、私もそのブームに乗った1人です。
そこで、マイコン制御の、レトロハイテクなニキシー管時計を作ってみましたので紹介します。



材料の入手
もはやニキシー管は過去の産物で、まともに販売しているお店はほとんどありません。
倉庫に眠っていたデッドストックがごく希に発掘されて、少量出回る程度です。
キットとしての販売もありますが、4本入りで\10,000以上の値段なので、いくら何でもぼったくりすぎと判断し、やめました。
どうせ、制御部は自作するつもりでしたので、1本2000円超はありえません。
そこで、Yahoo!オークションにて、これでも当時の数倍の値段だとは思いましたが、1本500円ほどで購入いたしました。
また、同時にニキシー管駆動用、高耐圧 BCD-to-10bit-decorderの74141も購入致しました。こちらは1つあたり\300でした。

直流高電圧の作り方
電源はマイコン直結できるDC5VをACアダプターから使います。
ここから、ニキシー管駆動用の高電圧を生成するために、秋月電子で売られている小型ELパネル用インバータを利用しました。
インバータから出力される交流電圧を、ダイオードブリッジにて全波整流し、直流高電圧を得ています。

全体の構成
ニキシー管4本、74141を4つ、PIC、CPLD、水晶、RS232Cドライバ、液晶表示器、インバータ、ダイオードブリッジ、 が主な部品です。これらを1つの基板にまとめると、サイズが大きくなるだけでなく、私は片面基板しか作れないので、 配線しきれないことの方が問題になります。
そこで、100x75mmの基板を2枚重ねて使用することにしました。各基板間は14pinのフラットケーブルで接続します。
上の基板にニキシー管、74141、インバータ、ダイオードブリッジを実装し、下の基板にその他を実装しました。これにより、下から上へはBCDで4桁の信号と電源だけを与えればいいことになります。

制御部
メインのCPUには、Microchip社のワンチップマイコン、PIC16F628(秋葉原で\300くらいから)を用いました。計時用のクロック源には秋月の高精度水晶12.8000MHz(\200)を用いています。
また、CPLD(Xilinx:XC9572)に1/12,800,000分周器、24進、60進カウンタ2個を作り、CPUとの簡易インターフェイス(SPIもどき)も収めました。
計時をCPLDに任せているので、CPUは液晶表示器を接続し、液晶画面でも時間の確認ができるようにし、また、RS-232Cインターフェイスを搭載し、PCやその他周辺機器から時刻設定を可能にしてあります。
これにより、将来的により高精度にしたくなったときに、標準電波やGPSを用いて適宜校正するようなモジュールの外付けが可能です。
現状では、PCと接続して、ターミナルソフト経由で時刻設定をするようにしています。
CPLDでハードウェア的に計時処理をすることにより、マイコンの処理の負荷によらず正確に計時できることと、CPLDを書き換えることで、微妙な校正(分周器を1/12799999にするとか)が可能になり、長期的に安定した計時が可能です。


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